1965・日活/監督・野口晴康/共演・宍戸錠、葉山良二、武藤章生、松原智恵子、東野英治郎
親分を殺され、組が解散しても、カタギになりきれない幹部三人。彼らの報復を恐れた敵は三人の殺し屋を雇うのだが・・・。敵、味方、得体の知れない奴までが交錯し、事態は二転三転することに。男達の魂の絆にシビれる、ハートウォーミングなハードボイルド?ま、詳しくは観てのお楽しみってことで(笑)
【感想】
ずばり、男の純情!あたしゃそれにヤラレました。
なんって可愛いんでしょ、この頼りない元幹部三人組は(いや、アキラさんは頼れる兄貴分なんですがね)。
オヤを失くし、帰る一家も失くし、じゃあカタギになれるかっつったら、ハナっからそんな了見はない。だからヤクザになんかになったワケで。ウェットで愚かで人間味にあふれてて、無益な復讐に燃え燃えなワケです。そして互いを思いやっている。
まず葉山さんがいい。突っころばしの二枚目ヅラをして、女にお馬鹿だからウダツがあがらないなんて(笑)。
また武藤さんもいい。こっちはウブで女にオクテで、ようやくホレた女には・・・。泣けたっっ。
そしてもちろん、アキラさんがいい。二人を見守るクールな兄貴分。だけど非情にはなりきらない、このバランス。お見事っ。
あのブルーグレーの光に包まれた埠頭で、「それじゃあ、一緒に死のうっ」
くわぁーーーっっ。俺も一緒に連れてってくれーーーっっ。
一方、非情の殺し屋チーム。こちら三人はクールでドライ。あくまでビジネスで殺しを受け負うプロ。しかしこちらにも、また泣かせるドラマがあります。
この二組の対比の妙!ジョーさんがアキラさんに惹かれるのも納得できます。
ジョーさん、乾いてていいわあ。
殺し屋がマトに惹かれていくという、私の大好物のパターンなので、やあ、おいしかった。
特に護送車の中の二人、絶品!
さてアキラさんを細かく見てみましょう(笑)。
しょっぱな、夜の撃ち合いになぜ白?あえて白なのか?雨の中だから防水ブルゾンで、首までジッパーきっちり閉めてます。
ここのシャンペンゴールドみたいなトーン、並みのセピアより、なんか奇麗です。
それがグレーに変わり、すうっと天然色に。おお、そんで主題歌。いいよー、引き込まれるよー。
グラサンにコート、帽子を身に着けるとキャラが変わります。クールなハードボイルドモードに。ボルサリーノがピシリとお似合いです。コートがトレンチじゃないのが味。
「動くと火がきえるよ」なんて、くうぅーっ、かーっくいー!
「すべたっ」とおなごをビシッとやりながら、のちには「いい人なのね」と瞳をハート型にさせる。ニクいよっ、この男っぷり。兄貴っぷりともども申し分なーしっ。
でもって一転、板前姿では、きゅうりなんぞをスパッとやりそこね(笑)、豆絞りのハチ巻きも、ぐーっ!な愛らしさ。このギャップ!よろめくわあ。
「わかんねーから聞いてんだ」の「だ」なんかもう、絶妙な飄逸味!
バーテンじゃなくて板さんてのが、またいいのです。
ふたたびクールモードに戻っての殴り込み。クライマックスでは、みんながヒルむ中を、ひとり怪しい色付きの煙(笑)の中へ。白いスカーフまきまきスタイルで女を横抱きっ。
さすが兄貴やーーー。
そして大団円。兄貴も御満足。めでたしめでたし、で、いいのか、松原さんっ?!
私にとっては東野先生=水戸黄門なのですが、あの組では黄門さまを中心に、アキラさん=格さん、葉山さん=助さん、武藤さん=八べえ、みたいな役割だったのでしょうか(笑)。
どーもイマイチ強そーな組じゃないなあ。あれ、印篭持ってるのってどっちだったっけ?
てなワケで、アキラさんの高音がしみ渡る主題歌「口笛の凍る町」も最高です。
ぜひ必聴。映画は必見で。
ただし皆さん、海や川に妙なもんポイポイ捨てるのはやめましょうね。
特に拳銃とかジョーさんの死体とか(嘘)
2004/08/11
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